和傘って本当に雨の日に使って大丈夫?
「和傘は本当に雨の日に使っても大丈夫?」そんな疑問にお答えしていきます!
和傘は【和紙】でできています。
素朴な疑問として「和紙だと水に濡れて破れてしまうのでは…?」と質問されることがあります。
そもそも和傘はなにで出来ているのか、詳しく知りたい方は過去の記事をチェック!
和紙だけど大丈夫?
ひとくちに「和傘」と言っても番傘、蛇の目傘、日傘など種類があります。
この中で雨の日に差せるのは【番傘】と【蛇の目傘】の2種類。
和傘の傘部分には和紙が張られているので「和紙だと水に濡れて破れてしまうのでは…?」と心配される方も多くいらっしゃいます。
大丈夫!
蛇の目傘や番傘は、防水のため和紙に「油」が引いてあるので、雨でも安心して使っていただけるのです!
エゴマ油、亜麻仁油、桐油などの上質な乾燥しやすい油(乾性油)を使うことで和紙に耐水性が生まれ、水に濡れても大丈夫な和紙(油紙)になります。
雨の日に着るレインコートも、昔は油紙で作られていたとか。
雨傘製作時は、竹骨に和紙を張ったあと、和紙に油を引き(コーティング)、天気の良い時に天日干しをして乾燥させています。
なので、番傘や蛇の目傘は雨の日に使っても大丈夫なのです!
(番傘や蛇の目傘の中には、使用状況に合わせあえて油の引いていないものをオーダー製作されている場合もあります)
番傘や蛇の目傘とは反対に、日傘は和紙に油を引かないそのままの状態なので、雨や水に濡れないようご注意くださいね。
和傘の頭についている布はつけたままで大丈夫?
雨の日に使える番傘や蛇の目傘を見ていると、頭のところに布が被せてあります。
時々「この布は傘を使うときに取りますか?」とお尋ねされますが…
取ってはいけません!そのままご使用ください!
なぜなら、この布の下には「ロクロ」という和傘の要になる重要な部品が付いており、ロクロを覆うように和紙が使われています。それらを雨や雪から守るための重要な存在なのです。
名前は「かっぱ」。人間が雨の日に着るかっぱと同じ名前ですね。
和傘を製作する職人さんや問屋さんによってカッパの種類もいろいろ。
岐阜和傘の場合は、カッパが付いているものは雨傘、ついていないものは日傘、と見分けがつきやすくなっています。
(産地によっては日傘にカッパがついているところもあります)
カッパについている紐は、ぶら下げて保管する際にもお使いいただけます。
どれくらいの雨なら大丈夫?
番傘や蛇の目傘は、日常で降る雨であれば問題なく使っていただけます。
ただ、強い風を伴う雨の日は使用を控えていただいた方が良いかもしれません。
和傘の骨組みは竹で出来ています。竹も丈夫ではありますが、やはり洋傘に使用されている素材に比べると風は大敵。
竹骨が折れてしまうとお直しが出来なかったり、お直し出来たとしても強度が落ちる為雨の日の使用が難しくなったり…。
蛇の目傘であれば、止具(ハジキ)が2段階あるので1段下げて一時的に風を逃すことは出来ますが、あまりにも風が強い場合などは使用を控えるなど、状況に合わせ使っていただければ安心かと思います。
まとめ
洋傘が普及する前は、蛇の目傘や番傘が雨具として日常的に使用されていました。
ビニールなどがまだない時代に生まれた工夫が、今現在も和傘の工程に組み込まれています。
ぜひ雨の日のお出かけに和傘を差してみてはいかがでしょう?
お着物はもちろん、お洋服にも合わせてお楽しみください。