本物の国産和傘の見分け方!日本製と海外製の和傘を比べてみました

「和」傘と呼ばれていても外国製?和傘・唐傘・番傘などの名で売られている外国産和傘と、日本産和傘の違いとは

世界にはいろんな「傘」があることをご存じですか?
紙や竹など、天然素材で作られている傘が日本の和傘以外にもあるのです。その作り方やデザインは様々で、その国(土地)の個性が表れていたりするのでいろんな発見も。
今回は、身近にある日本製と海外製の違いを中心にご紹介していきます!

実は身近にある海外製の傘!日本の和傘との違いを観察

この記事での海外製の傘とは、海外で製造されている天然素材を使用した傘のことを指します。
生産地は中国、タイ、ミャンマーなど、アジアが多い印象です。
なかでも日本のお隣、中国の傘は「油紙傘」「唐傘」などとも表現されており、日本でも輸入販売されています。
(※以下、和傘と区別をするため中国の傘を唐傘と表記)
しかしその唐傘は「和傘」としてお店に並んでいることがあり、もしかしたら日本製の和傘と思って購入されている方もいらっしゃるかもしれません。
「では、和傘と唐傘はどう違うの?」となると、違いを知るための情報が少なく、説明ができる一般の方はなかなかいないのが、切ないですが現状です。
この記事をきっかけに違いを知り、各国の文化による個性の違いを楽しんでいただければと思います!

日本の和傘の歴史については別記事をご覧ください。

  1. 日本の伝統、和傘の歴史をふりかえり
  2. 番傘とは?歴史や特徴を徹底解説!

【初めに】今回違いを比較していく「唐傘」とは

唐傘は親骨が太く、親骨に溝を掘って小骨差し込むなどの仕様になっています。
現在の日本の和傘は、唐傘が伝わってきたのち日本独特の作りを極めて今の姿になっているそう。
この記事では以下の写真の唐傘を使用し、主に3つのポイントで和傘と唐傘の違いを見ていきます!

中国傘2

親骨、小骨の接続部分

※「親骨(おやぼね)」=一番長い竹の骨組み
 「小骨(こぼね)」=内側を支える短い竹の骨組み

見比べる際にわかりやすいのが、傘の内側から見える傘骨。
和傘も唐傘も、親骨と小骨により骨組みが作られるのですが、その2つの接続部分が異なります。

和傘の接続部

↓親骨の竹節に穴をあけ、先端を割いた小骨を親骨竹節に挟む

和傘つなぎ目の写真

唐傘の接続部

↓親骨を太く作り溝を掘り、そこに小骨を差し込む

唐傘つなぎ目の写真

日本製の和傘は、親骨にある竹の節を活用し、半分に割いた小骨でその節を挟み、骨を繋げています。
こうすることで骨自体を細くすることができ、きれいな三角形の閉じ姿になります。

唐傘は、親骨に溝を作り、小骨をさし込む作りになっています。親骨自体が太く作られるので、閉じると少し寸胴なシルエットになります。

和傘(左)、唐傘(右)

和傘唐傘比較の写真

和傘唐傘比較写真手元

※和傘製造を海外に委託し(日本の作り方を伝授)、その完成品を輸入されているものの場合は、傘骨だけでは見分けがつかないこともあります。あくまで参考として覚えておいてくださいね。

石突(いしづき)

和傘は持ち手を下にして置きます。持ち手の一番下、地面とあたる部品を「石突(いしづき)」といいます。見比べてみると…

和傘の石突

和傘石突の写真

和傘石突の写真2

唐傘の石突

唐傘石突の写真

唐傘石突の写真2

和傘の石突は柄の先端を包むようにかぶさっており、地面から少し離れるような形状になっています。
天然素材である木製の持ち手でも、傷みを防止してくれます。

一方、唐傘は画鋲のような形状をしているため、地面から近くなり持ち手の先端が水に濡れて傷みやすくなってしまいます。また、石突が錆びた場合持ち手が割れてしまう可能性もあるそう。このタイプの石突であればなるべく濡れないようにご使用いただくと良さそうですね。

実は、この石突と呼ばれる部分は洋傘にもあるのです!
洋傘の場合は傘を開いた上にある先端部分のところを指します。
和傘と洋傘は立てかける際上下の向きが異なりますが、どちらも「石突を下にして置く」ことは共通しているのが面白いところ!
(和傘は柄の種類によっては石突がないものもあります)

和傘と洋傘

ロクロ

傘を作る際に一番重要な部品「ロクロ」も、和傘と唐傘で形が違うのです。
完成してしまうと目立たなくなってしまい分かりづらいのですが、ぜひ傘の内側をじっくり観察してみて下さい。
和傘の頭ロクロのつなぎ目部分は外側から内側に向かって窪んでいるようになっていますが、唐傘頭ロクロのつなぎ目部分の表面は平ら。対となる手元ロクロも形や溝の作りが異なります。

和傘の頭ロクロ、手元ロクロ

和傘ロクロ比較写真

唐傘の頭ロクロ、手元ロクロ

唐傘ロクロ比較写真

こんなところにも違いが隠れているのですね…!

中国の唐傘作りの作業風景を覗いてみよう!

和傘との比較でご紹介してきた唐傘。
製作風景を撮影した動画がYouTubeにありましたので気になる方は覗いてみてください。(動画の製作工程はあくまで一例です)

動画-1 | 中国/唐傘(油紙傘)の作り方

How Ancient Chinese Umbrella Was Made


動画-2 | 中国/唐傘(油紙傘)の作り方

Oilpaper Umbrella, It Took Two Months to Make, Completely Handmade

タイやミャンマーの傘づくり

ミャンマーの傘

中国で作られる唐傘以外にも、アジアには天然素材を使用した様々な傘があります。カラフルな色の傘が多いので見ていて楽しい!


動画-3 | タイ・チェンマイ ボーサン村 アンブレラ メイキング センター

アンブレラ ビレッジ

タイ・チェンマイは傘の名産地。ボーサーン傘祭りでは、街中に傘!傘!アジアならではの熱気と、日本とは違う傘の使い方の感覚を、ぜひ見ていただきたいです。

動画-4 | ミャンマー パテイン

パテイン・ティー(パテインの傘)Pathein Htee


動画-5 | ミャンマー パテイン

DVB -Fashion Wave (pathein Umbrella)

日本の和傘の製作風景はこちらのページをチェック!

  1. 岐阜和傘をもっと知る、動画・記事の一覧

世界それぞれの傘に、文化と歴史が詰まっています

今回は身近にある日本製と海外製の違いを中心にご紹介してきました。
この機会に、作り方の違いなど知っていただけると嬉しいです。
世界には様々な傘があり、その土地の工芸品として今も作り続けられています。

各地の傘に出会う旅を計画してみるのもいいかもしれませんね。

タイの傘

チェンマイの傘

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