日本の伝統、和傘の歴史をふりかえり

和傘の歴史 history

 日本の伝統文化のひとつとなっている和傘ですが、いつどんなふうに始まったのか、調べてみました。
(なお、歴史は資料によって違うことも多くあります)

1. 歴史と文化

 和傘が日本へ伝わった正確な時期は分かっていません。
 古墳時代、欽明天皇(509年〜571年)のころに、朝鮮から仏教とともに傘の文化が伝わっていたと考えられています。
 当時の傘は「蓋(きぬがさ)」や「天蓋(てんがい)」と呼ばれていました。絹などの布を張った覆いで、開いた状態のまま閉じられません。用途としては、現代の日傘の役割や魔除け、また権威の象徴として、特別な身分の人へ差し掛けられるものでした。

飛鳥時代の和傘のイメージ

 現代の和傘のような、開閉のできる和傘が登場する時代についても所説あります。少なくとも鎌倉~安土桃山時代には現代の和傘と同じような構造の傘が生産されていたと考えられます。鎌倉時代の「一遍聖絵」に閉じた状態の傘が描かれています。
 江戸時代には和傘の生産でも分業制が広く普及し、和傘が一般の人々の生活必需品として親しまれていったとみられます。

 江戸時代のおわり、1859年(安政6年)に本格的に洋傘の輸入が始まりました。輸入量は年々増えていきますが、和傘の生産もまだまだ順調でした。和傘の一大産地である岐阜では、当時年間100万本以上の和傘を生産していました。
 和傘は逆に輸出もされはじめました。1872年(明治5年)に日傘をイギリスに輸出した記録が残っています。

 1950年ごろ(昭和20年前後)、岐阜での和傘づくりは最盛期を迎えます。年間1500万本を超える生産量を誇っていました。しかしその後は洋傘の普及がより進み、和傘の需要は急激に減少していきます。

2. 現代の和傘

 現代では、国内の和傘生産量は年間数千本となっています。最盛期と比べて生産量も職人の数も大きく減ってしまいました。しかし、和傘の生産量が少なくなっても、職人たちは昔と変わらない構造や製法で和傘を生産し続けています。
 全国の寺社の祭礼、歌舞伎や文楽などの伝統芸能など、日本の文化に欠かせない大切なものとして、人々に親しまれています。

歌舞伎と和傘のイメージ

 

 みなさんも東京や京都などの観光地で、芸鼓や舞妓が日常的に和傘を使う姿をご覧になったことはないでしょうか?日本の伝統風景に、和傘が一役買っています。

舞妓さんと和傘のイメージ

 日常で和傘を使う場面は減りましたが、現代ならではの和傘活躍シーンがあります。

 イルミネーション・結婚式・七五三など、和傘を使った撮影が静かなブームになっています。音楽のライブステージで和傘を使ったパフォーマンスはとても印象的でかっこいいです。アニメやゲーム作品に登場したことで、個人で和傘を買い求める姿も世代を超えて見受けられます。
 若手の職人が、新しいデザインの和傘や、昔の技術を復刻した和傘を製作することで、新しい和傘ファンが増えています。

成人式と和傘のイメージ

3.和傘の未来

 受け継ぎたい素敵な和傘の文化。ですが、そのためには課題もあります。
 年間数千本の生産量では、需要が少ない→材料を育てる・つくる人が減る→つくる人が育たない→今いる職人の高齢化・人手不足といった課題を抱えています。

 和傘の骨に使われる「真竹(まだけ)」、傘を開け閉めする手元のパーツ「ろくろ」に使われるエゴノキなどが、手に入らなくなる危機が目の前にきています。昔は日本各地で和傘にまつわる職人が活躍していました。現代では、和傘の部品や伝統製法の和傘を大量に安定して生産できるのはほぼ岐阜の一部だけとなっています。

 海外製の簡易ななつくりの傘も「和傘」として一般の方には見分けが付きにくいのですが、日本の技術が詰まった和傘は、実際に手に持ってみると各所まで行き届いた職人技の美しさや丈夫さが違います。
 和傘の「粋」を残していくために、和傘に親しみを持ってくださる方が少しでも増えてくださることを願っています。

また、和傘の職人や材料を応援するプロジェクトには、たくさんの方が支援に関われる仕組みがあります。
クラウドファンディングで和傘職人の育成研修を行い、新たに職人が生まれました。
岐阜や京都といった産地を超えて、和傘の関係者や支援者が集まり、和傘の開閉部品「ろくろ」に使う材料の木「エゴノキ」をみんなで植えて収穫するプロジェクトも毎年行われるようになりました。

4.国産の和傘はどこで買えばいいの?

 岐阜県で唯一の和傘専門店「和傘CASA」は、岐阜市にある和傘のセレクトショップです。岐阜市は、和傘の生産額が全国トップで、伝統と技術が息づくまちです。
 当店「和傘CASA」では、岐阜和傘の魅力を広く伝えるため、美しいデザイン・機能性のある和傘をセレクト販売しております。

和傘CASA 店舗

和傘CASA

 500-8009 岐阜県岐阜市湊町29
 長良川てしごと町家CASA 1F
 営:11:00~18:00
 火曜・水曜定休
 https://wagasa.shop

5.まとめ

「和傘の歴史」についてご紹介してきました。
和傘をお手にされたことがない方は、ぜひ岐阜で実物に触れて、つながってきた時間・想い・技術を感じていただければと想います。
きっと、傘を使う日が楽しみになります。

和傘をさす舞妓さんと岐阜川原町

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