和傘の選び方。目の錯覚で和傘の印象が違う⁉
錯覚のフシギを知って、和傘選びに役立てましょう!
まずは下の写真をご覧ください。
左側の、子どもが持っている傘のほうが大きく見えませんか?
でもこれ、実は同じサイズなんです。
傘の角度、立ち位置の前後も多少関係しますが…これは、目の錯覚が関係しています。
色は多少違いますが、商品写真で見比べたものがこちら。
いろいろな錯覚と、和傘選びの関係をご紹介していきます。
1. 和傘と大きさの錯覚
●枠が大きいと、中身が小さく見える「デルブーフ錯視」
以下の図がデルブーフ錯視です。
中央の黄色い丸をくらべると、左のほうが、黄色が大きく見えませんか?
囲わなかったときと比べると、囲んだ時のほうが大きく見えます。
また、黒い線が太く主張するほど、この差を強く感じます。
黄色と黒、2つの形がセットになって見えるので、印象がひきずられるのです。
これは日常の色々なところに潜んでいる錯覚です。
眼鏡を選ぶとき、目を大きく見せたいなら、顔からはみ出ないような小さめの、フレームがくっきりした眼鏡を選ぶとよいとか、
レストランで、同じ料理を大きい器と小さい器で盛り付けたときの洗練度やボリューム感が違って見えるとか。
では、ただでさえ大きく見えていた左側の円を、
黒丸のサイズでそろえたらどうなるかと言えば……。
左側の黄色は通常よりさらに大きく見えてきます。
最初の和傘のデザインを図にすると……赤い部分の一番大きいところが一番印象を左右するので、左の傘のほうが大きい印象になりました。
では、大きい和傘で自分を囲えば、小顔に見えるのでしょうか。
……これは一概には言えません。
人のサイズ感は変わって見えるのですが、それ以上に和傘はとても目をひくので、トータルの印象では和傘の印象にもっていかれます。
小さい傘を持っていると華奢で洗練された軽やかな印象に、大きい傘を持つほど、華やかでボリュームのある印象に見えませんか?
ただ、和傘を持たないよりも、持ったほうが顔は小さく見えます。
●まわりに目立つものがあると小さく見える「エビングハウス錯視」
以下の画像では、中心のグレーの丸は左右同じ大きさです。でも、右は大きく、左は小さく見えませんか?
周りに目立つものがあると、無意識に比較して錯覚が起きます。これもデルブーフ錯視と同じ原理です。ファッションにおいて、首周りにフードやショールなどをまいて小顔に見せる効果と同じように、和傘をさすことで小顔効果があります。
和傘の柄でも、大きい柄だと柄がかっこよく目立つことで小顔に見えますし、小さく細かい柄だと、あまり主張しないのでよくなじみ、顔のかわいらしさに目が行く効果があります。
●身長が小さいと和傘が大きく見える
大きさの印象は、持つ人の身長にも左右されます。
ご自身の身長にあわせたサイズをお選びいただいて、目指したい印象に近づけていただくのが一番です。
同じ傘を、身長別に持った写真がこちらです。同じ傘でも、小さな子が持つと大きく見えますね。
冒頭の写真も、左の傘を子どもが持っていることで、より錯視が大きくなっています。
◆身長163cmの場合─左:小蛇の目傘(直径92cm)、右:蛇の目傘(直径106cm)
◆身長145cmの場合─左:小蛇の目傘(直径92cm)、右:蛇の目傘(直径106cm)
◆身長130cmの場合─左:小蛇の目傘(直径92cm)、右:蛇の目傘(直径106cm)
大きい印象の傘なら、家族みんなで入っても窮屈さがなく、仲の良さを演出できます。
和傘のサイズ感と身長については、こちらで詳しくご説明しています。
●矢印効果で長さが変わる「ミュラー・リヤー錯視」
以下の図で、真ん中の紫の線は、実際には上下とも同じ長さです。
でも、下の方が長く見えませんか?
矢印による「ミュラー・リヤー錯視」。
メイクでアイラインをひくとき、目じりと目頭を両方囲うと目が小さく見え、目頭をはねあげるように描くと目が大きく見えるのはこの効果です。
和傘は、親骨と和紙が作る大きな三角と、内側にある受骨の小さな三角が組み合わされてできています。
和傘を傾けて、受骨の三角が目立つように持てば、身長が高く見えてお子様の場合、成長を感じる写真になります。
傘をまっすぐに立てて、傘の三角を強調すれば、お子様の幼さを表現したり、家族やカップルできゅっとまとまった仲の良さを表現できます。
また、まっすぐに傘を立てると、縦のラインが強調されるので、視線を上にあげ、細くスッキリ見せてくれる効果があります。
2. 和傘と「色の心理学」
●大きくみえる色・小さく見える色
以下の図では、黄色い丸のほうが、大きく・手前に見えます。
色には、背景との明るさのコントラストによって、実際より大きく見える「膨張色」(主に明るい色)と、小さく見える「収縮色」(主に暗い色)や、
手前に見える「進出色」(主に暖色系)と、奥に見える「後退色」(主に寒色系)があります。
さきほど登場した和傘の図も、背景と和傘の色を変えると、最初に目に飛び込んでくるのは青ではなく白となって、右の和傘のほうが大きく見えます。
ですから、まわりが白いデザインの和傘が小さく見えるかというと、そういうわけでもないのです。
●「クール」「元気」…色の与える雰囲気
和傘は色の面積が多いので、それぞれの色が持つ印象が全体の雰囲気を左右します。たとえば、舞妓さんの白い化粧に、赤色の和傘が映えると、より神秘的で女性らしさが出ます。
赤色/情熱、エキゾチック、JAPAN
黄色/明るい、親しみ、活発
緑色/癒し、賢い、調和
青色/さわやか、清潔、冷静
白色/神聖、無垢、清潔
……など。
服の中の一色とあわせた色の和傘を持つと、コーデがまとまります。上記写真では、赤い傘を持てば服の中の赤色に目がいき、緑の傘を持てば服の緑に目がいきます。服のメインカラーが決まる感じですね。
和傘×心理学を知ると、和傘選びがまた楽しくなります
色が持つ印象は、人それぞれ。ご紹介した錯覚も、強く感じられる人と、そうでもない人がいると言われています。楽しくお使いいただくヒントにしていただければと思います。